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土地を早く売るためのポイントを解説|準備や不動産会社の選び方など

土地を早く売るためのポイントを解説|準備や不動産会社の選び方など

できるだけ早く土地を売却しなければならないけれど、何から手をつけたらよいのだろうと焦っていませんか。「急がば回れ」というように、やみくもに不動産会社に依頼するのではなく、早期売却のためのポイントをおさえて必要な確認・準備をしておくと、スムーズに売却手続きに入れます。

本記事では、土地を早く売るためのポイントを整理して解説します。不動産会社との媒介契約の仕組みや、どうしても売却できない場合の対処法もあわせて紹介しますので、土地の早期売却を目指している方はぜひ参考にしてください。

土地を早く売るために確認・準備しておくべきこと

土地を早期売却するには、あらかじめ確認・準備をしておくべき点がいくつかあります。ここでは、その事前確認・準備事項を3点紹介します。

  • 土地の名義は売り主になっているか
  • 隣地との境界は確定しているか
  • 書面・資料がそろっているか

土地の名義は売り主になっているか

まず、法務局で土地の「登記事項証明書」(登記簿謄本)を取り寄せて、土地の所有者が売り主になっているかを確認します。

登記事項証明書

画像出典:法務省「不動産登記のABC

現在の所有者を示す部分(上図の赤色の四角で囲んだ部分)に、売り主の情報が記載されていれば問題ありません。相続時に名義変更をしていなかったなど、売り主の名義になっていない場合は、司法書士に依頼して変更手続きをしてもらいましょう。

変更手続きにかかる費用は、登録免許税、必要書類の取得費用、司法書士への報酬など、およそ10万円程度かかると見込んでおいてください。

隣地との境界は確定しているか

続いて、隣地との境界が確定しているかを「境界確定図」で確認します。

境界が確定している場合は、下図のような境界確定図が自宅などに保管されているはずです。

確定測量図

画像出典:国土交通省関東地方整備局「道路との境界確定申請

もし見当たらない場合は、仲介を依頼する不動産会社の担当者、または土地家屋調査士に相談をしてください。売り主の名義になっていない場合は、司法書士を通じて依頼しても構いません。

越境物がある場合は覚書の締結を

境界線と越境物

隣地との境界は確定しているけれど、越境物がある場合は、隣地所有者と「覚書」を取り交わしておきましょう。隣地所有者と相談しているなかで、もしトラブルになってしまった場合は、早めに弁護士に相談するのがおすすめです。

越境物に関する覚書(例)

〇〇〇〇(以下、「甲」という)と、△△△△(以下、「乙」という)は、双方が所有する土地境界上の越境物について、以下のとおり合意する。

第1条 甲乙は、甲所有の越境物(××××)が、別紙図面のとおり、乙所有の土地の境界線を越えて存在していることを確認する。

第2条 乙は、甲所有の越境物について、改築・建て替え等で現状変更しない限り、撤去請求をしないものとし、現状のまま所有・使用することを承認する。

第3条 甲は、甲所有の越境物について、将来改築・建て替え等をおこなうときは、自己の責任と費用負担によって越境物を撤去するとともに、越境部分の乙所有地について所有権を主張しない。

第4条 甲乙は、所有地を第三者に譲渡するときに、本覚書の権利・義務を当該譲受人に継承させる。

令和〇年〇月〇日

甲 (住所) (署名)〇〇〇〇(捺印)

乙 (住所) (署名)△△△△(捺印)

書面・資料がそろっているか

土地を売却するときに必要な書面・資料がそろっているかを確認しましょう。

書面・資料名保管場所・入手先
権利証または登記識別情報通知自宅など
実測図自宅など
土地を購入したときの売買契約書自宅など
固定資産納税通知書または固定資産評価証明書市区町村
印鑑登録証明書市区町村

もし見当たらない場合は、仲介を依頼する不動産会社の担当者に相談してください。

土地を早く売るために不動産会社を選ぶポイント

土地を売却する際の事前確認・準備ができたら、実際に販売活動をおこなう不動産会社を選びます。ここでは、土地の早期売却をするための不動産会社を選ぶポイントを4つ紹介します。

  • 周辺地域での売却実績が豊富か
  • 適切な価格設定ができるか
  • 建築会社などとのコネクションがあるか
  • 行政処分歴がないか

周辺地域での売却実績が豊富か

まずは売却予定地周辺にある土地・建物の販売実績があるかどうかをチェックしてみましょう。

候補となるのは、土地周辺に営業拠点がある大手不動産会社や、土地周辺に営業拠点があり業歴が長い地域密着型の不動産会社です。

ただし土地の早期売却の鍵となるのは、その土地にあった価格設定や売却活動があるか否かです。販売実績が豊富な会社は、周辺地域の事情を熟知し、適切な価格設定や売却活動をしてくれる可能性が高いといえるでしょう。

不動産会社の業歴の長さの調べ方

不動産会社は、都道府県知事(複数の都道府県にまたがる場合は国土交通大臣)から宅地建物取引業者の免許を取得し、宅建業免許番号が割り振られます。

宅建業の免許更新は5年に一度で、免許番号の( )内に更新回数が記されます。したがって、( )内の数字が大きいほど業歴が長いです。

【例】

  • 「東京都知事免許(3)○○号」・・・更新3回:業歴11~15年
  • 「国土交通大臣免許(2)○○号」・・・更新2回:業歴6~10年

宅建業免許番号は、国土交通省の宅建業者検索サイトから検索できます。

適切な価格設定ができるか

立地や相場などにあった適切な価格設定ができる不動産会社を選ぶと、早期売却が実現できる可能性が高まります。

購入希望者が不動産を選ぶときに最も重視するポイントは、購入予算と不動産の価格です。公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会が2017年2月におこなった「土地・住宅に関する消費者アンケート調査」でも、物件選択時の優先順位は「物件価格・予算が合致するもの」が最も多くなっています。

土地・住宅に関する消費者アンケート調査

画像出典:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会「土地・住宅に関する消費者アンケート調査ウェブアンケート調査結果<全体版>」P31

適切な価格設定が可能な会社であるかは、担当者に次のことを質問し、納得ができる説明ができるかで見極めるとよいでしょう。

  • 査定金額の根拠
  • 売出価格を下げる可能性の有無
  • 売出価格を下げるときのタイミングと下げ幅

建築会社などとのコネクションがあるか

不動産会社がどのようなひと・会社が購入者になるかを想定して販売活動をおこなうかも確認しておくとよいでしょう。具体的な販路がある会社、例えば、住宅商品の敷地となる土地を探している建築会社とコネクションがある会社であれば、すぐにその建築会社とコンタクトをとり、商談に持ち込んでくれるかもしれません。

逆に、具体的な販路がない会社に依頼すると、ニーズのない層にはアプローチをかけるだけで、ただ時間が流れていくということになりかねません。

行政処分歴がないか

行政処分歴がない不動産会社を選ぶことも、土地の早期売却に導くポイントです。

法令違反行為をして行政処分を受けた不動産会社との取引を敬遠するひと・会社も多いので、なかなか購入希望者が見つからないということもあり得ます。

売り手としても、ネガティブな過去がない不動産会社に任せたほうが安心です。直近5年間の行政処分の有無については、国土交通省のネガティブ情報等検索システムで調べることができます。

土地を早く売るために不動産会社を選ぶ流れ

土地を早く売るためには、段取り良く不動産会社を選ぶことも大切です。ここでは、不動産会社を選ぶときの流れとポイントをステップごとに紹介します。

  1. 複数の不動産会社に査定を依頼する
  2. 候補となる不動産会社を数社に絞り込む
  3. 契約する不動産会社を決める

1.複数の不動産会社に査定を依頼する

まず、不動産会社に査定を依頼します。不動産一括査定サイトを利用すると、一度に複数の会社に依頼ができるので、手間や時間がかからず便利です。査定依頼する会社の数は、大手の会社1~2社と地域密着型の会社2~3社、合わせて3~5社にするとよいでしょう。

依頼社数が少ないと査定結果などの比較ができません。ただ多すぎると査定結果の対応に時間がかかったり、営業電話が多くなり対応が大変になってしまう可能性があるので注意しましょう。

2.候補となる不動産会社を数社に絞り込む

続いて、各社から届いた査定結果を比較し、契約先の候補となる会社を2~3社に絞り込みます。

候補を絞り込むときは、次のようなポイントで比較・検討するとよいでしょう。

  • 査定金額とその根拠
  • 査定書のわかりやすさ
  • 仲介手数料やサービス内容
  • 営業担当者の対応
  • 所有地の近くに営業拠点があるか
  • どのような不動産を多く扱っているか(専門性)など

3.契約する不動産会社を決める

候補社を2~3社を絞り込んだら、営業担当者と直接面談し、媒介契約の条件などを調整・確認して、最終的に契約先となる不動産会社を決めます。

契約先を決めるときは、営業担当者の人柄や相性も重視しましょう。担当者と売り主の間に信頼関係が築けそうか、購入希望者に対して親切丁寧に接してくれそうかという点も、土地の早期売却を実現できる要素となりえるでしょう。

土地を早く売るための媒介契約の選び方

土地の売却を不動産会社に依頼するときは、売り手と不動産会社との間で媒介契約を結びますが、媒介契約には3種類あり、状況に応じて変えてゆく必要があります。

どの種類で契約するか迷ったときは、はじめは一般媒介契約で締結し、それで売却できなければ、専任媒介契約や専属専任媒介契約に切り替えるとよいでしょう。

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

一般媒介契約|売れやすい土地むけ

一般媒介契約の最大の特徴は、同時に複数の不動産会社と媒介契約が結べる点です。売り主が自ら購入希望者を探して売ることもできる(自己発見取引)ので、所有地の物件情報がより多くの人の目に留まりやすくなり、早く売れる可能性が高まります。

また、次のような特徴もあります。

  • 契約期間は一般的に3ヵ月(法律上の規定はない)
  • 途中解除ができる
  • 不動産会社は物件情報をREINS(※)に登録しなくてもよい
  • 不動産会社は売却活動の進捗について売り主に報告をしなくてもよい

※REINS(レインズ):全国の売買の対象となる物件情報を交換するネットワークシステム。不動産会社のみ利用できる

ただ一般媒介契約は不動産会社にとってメリットがあるものの、多くの不動産会社が介在するため、専任媒介契約や専属専任媒介契約で契約したいのが本音です。そのため、不動産会社のなかには本気で売却活動に取り組まない会社もあるので注意しましょう。

専任媒介契約|売れにくい土地むけ

専任媒介契約は、売り主が自己発見取引ができる点は一般媒介契約と同じですが、同時に複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことはできません。契約を結んだ会社にとっては、同業他社に仕事が取られる心配がないため、積極的に販売活動に取り組んでくれます。

また、次のような特徴があります。

  • 契約期間は最大3ヵ月(法律上の規定あり)
  • 途中解除は原則としてできない(事情によっては途中解約はできる)
  • 不動産会社は物件情報をREINSに登録しなければならない(媒介契約締結日から7営業日以内)
  • 不動産会社は売却活動の進捗について売り主に定期報告をしなければならない(2週間に1回以上)

ただし、不動産会社が自社の都合のよいタイミング(例えば決算期近く)で成約させようとしたり、自社の都合にいいように物件情報を操作する恐れがあるので、定期報告の内容は毎回必ずチェックするようにしてください。

専属専任媒介契約|売れにくい土地むけ

専属専任媒介契約は、同時に複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことも、売り主が自己発見取引をすることもできません。また、次の特徴もあります。

  • 契約期間は最大3ヵ月(法律上の規定あり)
  • 途中解除は原則としてできない(事情によっては途中解約はできる)
  • 不動産会社は物件情報をREINSに登録しなければならない(媒介契約締結日から5営業日以内)
  • 不動産会社は売却活動の進捗について売り主に定期報告をしなければならない(1週間に1回以上)

専属専任媒介契約は、売り主は契約を結んだ不動産会社に販売活動のすべてを託す形になります。不動産会社は専任媒介契約よりも売り上げを確保できる可能性が高まり、より積極的な販売活動に取り組みやすい傾向があります。

ただし、専任媒介契約と同様に、不動産会社が成約のタイミングや物件情報の操作をする恐れがあるので、注意が必要です。

土地を早く売るために売り主がおこなっておくべきこと

できるだけ早く、できるだけスムーズに土地を売るために、売り主が心がけておきたいことがあります。ここでは、売り主がおこなっておくべきポイントを3つ紹介します。

  • 売却相場を調べておく
  • 隣地の所有者に相談してみる
  • 不要な構造物などは撤去しきれいにしておく

売却相場を調べておく

不動産会社に査定を依頼する前は、土地の売却相場を調べておきましょう

土地の売却相場を事前に把握しておけば、不動産会社の査定金額が高いのか安いのか、買い手から価格交渉をおこなうときにどのくらいの金額で妥結するのか、判断する基準にすることができます。

土地売却の相場は、次の計算式で求められます。

土地の売却相場=固定資産税評価額÷0.7

固定資産税評価額は、毎年6月頃に市町村(東京23区は都税事務所)から送られる、固定資産税納税通知書または納税通知書と同時期に送付される課税明細書に載っています。

課税明細書

画像出典:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)

隣地の所有者に相談してみる

隣地の所有者は、筆頭の購入候補者です。いま建っている建物を動かさずに土地を広く使えたり、土地の形を整えることができるなど、隣地を購入することで得るメリットが大きいためです。

そのため、隣地の所有者に土地を購入しないか相談してみましょう。

隣地所有者に打診する方法は、自分で声をかけるか、不動産会社に声をかけてもらうかの2つが考えられます。不動産会社に声をかけてもらいたい場合は、一般媒介契約専任媒介契約で不動産会社と契約し、契約を結ぶときに「お隣さんにも声をかけてください」と頼んでおけば大丈夫です。

ただし、不動産会社とすでに専属専任媒介契約を結んでいる場合は、禁止されている自己発見取引に当たるため注意が必要です。

不要な構造物などは撤去しきれいにしておく

売却予定地の上に古家、駐車場のアスファルト、廃棄物などの不要物がある場合は撤去しておくと、早く売れる可能性が高まります。また、定期的に清掃や草刈りをして、きれいな状態を維持しておくと、買い手の心証が良くなり、購入意欲を高めることができるでしょう。

どうしても売れない場合は

最後に、どうしても土地が売れない場合の対処法を3つ紹介します。

  • 不動産会社に買い取ってもらう
  • 自治体に買い取ってもらう
  • 相続の場合は国に引き取ってもらえる可能性も

不動産会社に買い取ってもらう

買取という契約方法で、不動産会社に直接土地を買い取ってもらう方法があります。

買取による土地の売却価格は、仲介による売却価格の80%程度と見込んでください。価格は安くなってしまいますが、不動産会社が直接買ってくれるため、段取りよく、早く売却できます。

自治体に買い取ってもらう

都道府県や市区町村に、土地を買い取ってもらえないかを打診してみるのもひとつの対処法です。

自治体には、公有地の拡大の推進に関する法律(公有地拡大推進法)という法律に基づいて、道路や公共施設などの建設のために、公共事業用地を取得できる制度があります。もし、自治体が土地を買い取ってくれた場合、収用等により土地建物を売ったときの特例が適用されるので、節税効果もあります。

ただし、公共事業が計画されていなければ、断られる可能性が高いでしょう。

相続の場合は国に引き取ってもらえる可能性も

今年(2023年)から、一定の要件を満たす相続または遺贈によって入手した土地を国に引き渡すことができる相続土地国庫帰属制度が始まりました。

制度を利用する場合、審査手数料と負担金(一筆20万円が基準)がかかりますが、国が引き取ってくれるので安心です。

ただし、制度が利用できる要件や、申請手続きはやや複雑ですので、土地の所在する法務局か、この制度に詳しい弁護士・司法書士・行政書士に相談するとよいでしょう。

まとめ

土地をできるだけ早く、できるだけスムーズに土地を売るためには、事前準備や事前確認が必須です。本記事では、土地の名義の確認方法、隣地との境界確定、売却相場の調べ方など、具体的な方策を紹介しました。もし、わからないことがある場合は、不動産会社の担当者や司法書士など専門家に相談するとよいでしょう。

また、隣地所有者への打診は土地の早期売却へつながりやすいです。差支えがなさそうなら、まずは隣の人に声をかけてみることをおすすめします。紹介してきたポイントを参考に、迅速な売却を目指しましょう。

この記事の著者
駅探PICKS編集部
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